動名詞
動詞のing形が名詞の働きをする形です。不定詞と似ていますが、使える動詞と意味が異なります。
動名詞は「すでにあること・実際に起きていること」を指すのが基本です。不定詞が「これから向かうこと」を表すのと正反対で、この違いがそのまま動詞の使い分けにつながっています。avoid や finish が動名詞しか取らないのは、どちらも「すでに存在する行為」を対象にしているからです。
働きは名詞と同じ
主語・目的語・補語・前置詞の後ろに置けます。動詞から来ているのに名詞として振る舞うのが動名詞です。
現在分詞と形は同じ
どちらも動詞ing ですが、名詞の働きなら動名詞、形容詞の働きなら現在分詞です。形ではなく働きで区別します。
前置詞の後ろは必ず動名詞
前置詞の後ろに動詞を続けるときは、必ず ing形にします。to が前置詞の場合も同じで、ここが最大のつまずきです。
見分け方
動詞ing を見たとき、それが動名詞かどうかは働きで判定します。
1. その ing形は名詞の位置にあるか
主語・目的語・補語・前置詞の後ろのどれかにあれば動名詞です。
2. それ自体を「〜すること」と訳せるか
訳せれば動名詞です。「〜している」と訳すなら現在分詞か進行形です。
3. be動詞とセットになっていないか
be動詞とセットなら進行形です。ただし My hobby is reading. のように補語なら動名詞です。訳して確かめてください。
| 例 | 正体 | 判断の根拠 |
|---|---|---|
| Reading books is fun. | 動名詞 | 文の主語。「読むこと」と訳せる。 |
| He is reading a book. | 現在進行形 | be動詞とセットで「読んでいる」。 |
| The boy reading a book is Tom. | 現在分詞 | 直前の The boy を修飾している。形容詞の働き。 |
| a sleeping bag | 動名詞 | 「眠るための袋」で用途を表す。a sleeping baby(眠っている赤ん坊)とは意味が違う。 |
用法別の例文
置かれる位置ごとに整理すると、使い方が見通せます。
主語・補語になる
「〜することは」「〜することだ」と訳します。
Learning a language takes patience.
言語を学ぶには忍耐が必要だ。
主語の位置。
My job is teaching English.
私の仕事は英語を教えることだ。
be動詞の後ろの補語。
動名詞だけを取る動詞の目的語
avoid / finish / enjoy / mind / admit / deny / postpone / consider / suggest / practice などが該当します。to do は取れません。
He avoided answering the question.
彼はその質問に答えるのを避けた。
× avoided to answer
I finished writing the report.
報告書を書き終えた。
× finished to write
She suggested taking a break.
彼女は休憩を取ることを提案した。
× suggested to take
前置詞の後ろ
前置詞の後ろに動詞を続けるときは必ず動名詞です。例外はありません。
She is good at solving problems.
彼女は問題を解決するのが得意だ。
at の後ろ。
Thank you for coming.
来てくれてありがとう。
for の後ろ。
I look forward to hearing from you.
ご連絡をお待ちしています。
この to は前置詞。 to hear ではありません。ビジネスメールで最も間違えられる形です。
to が前置詞になる表現
後ろが動名詞になる to の一覧です。不定詞の to と見た目が同じなので、まとめて覚える必要があります。
be used to doing
〜することに慣れている
I am used to getting up early. used to do(以前は〜した)とは別物です。
look forward to doing
〜するのを楽しみに待つ
We look forward to working with you.
object to doing
〜することに反対する
They objected to changing the rule.
devote oneself to doing
〜することに専念する
He devoted himself to helping others.
慣用表現
決まった形として覚えるものです。
It is no use crying over spilt milk.
こぼれた牛乳を嘆いても無駄だ。
It is no use doing(〜しても無駄だ)
I cannot help laughing.
笑わずにはいられない。
cannot help doing(〜せずにはいられない)
How about going for a walk?
散歩に行きませんか。
How about doing(〜しませんか)
It is worth reading this book.
この本は読む価値がある。
be worth doing(〜する価値がある)
演習問題(ステップ解説)
例題1: to の正体を見抜く
I look forward to ( ) from you soon.
- look forward to という決まった形です。ここでの to は不定詞の to ではなく前置詞です。
- 見分け方は、to の後ろに名詞を置けるかどうかです。look forward to your reply と言えるので、この to は前置詞です。
- 前置詞の後ろに動詞を続けるときは必ず動名詞にします。
- 答えは hearing です。hear にすると誤りになります。
to の後ろに名詞を置けるなら前置詞。前置詞なら後ろは動名詞です。
例題2: 動名詞と現在分詞を区別する
a sleeping bag / a sleeping baby
- どちらも sleeping + 名詞という同じ形をしています。
- a sleeping bag は「眠るための袋」で、bag の用途を表しています。用途を表すのは名詞の働きなので動名詞です。
- a sleeping baby は「眠っている赤ん坊」で、baby の状態を表しています。状態を表すのは形容詞の働きなので現在分詞です。
- 形が同じでも、訳して意味を確かめれば区別できます。
「〜するための」なら動名詞、「〜している」なら現在分詞です。
日本人が間違えやすいポイント
look forward to や be used to の後ろを動詞の原形にしてしまう誤りが最も多く出ます。× I look forward to hear from you. → ○ to hearing。この to は前置詞なので、後ろは必ず動名詞です。to の後ろに名詞を置けるかどうかで見分けてください。
よく出るひっかけ問題
前置詞の to と不定詞の to を混同しない
look forward to / be used to / object to / devote oneself to の to は前置詞です。後ろは動名詞になります。to の後ろに名詞を置けるかどうかが判定基準です。
used to do と be used to doing は別物
I used to swim. は「以前はよく泳いだ」、I am used to swimming. は「泳ぐことに慣れている」です。be動詞の有無で意味が変わります。
動名詞の否定は not を前に置く
not doing の語順です。I regret not telling him. のように使います。doing not とはしません。
意味上の主語は所有格または目的格
I do not mind his coming late. のように、動名詞の前に所有格を置きます。会話では him coming late のように目的格も使われます。
remember / forget / regret は意味が変わる
動名詞なら「したこと」、不定詞なら「これからすること」です。remember locking(施錠したのを覚えている)と remember to lock(忘れずに施錠する)は別の意味です。
stop doing と stop to do も別物
stop smoking は「喫煙をやめる」、stop to smoke は「吸うために立ち止まる」です。後者の to do は目的語ではなく副詞的用法です。
練習問題
前置詞の to に特に注意して解いてください。
問1 I am looking forward to ( ) you.
1. meet
2. meeting
3. met
4. have met
答: 2 look forward to の to は前置詞なので、後ろは動名詞になります。to meet としないよう注意してください。
問2 He avoided ( ) eye contact with me.
1. to make
2. making
3. made
4. make
答: 2 avoid は動名詞だけを目的語に取る動詞です。finish / enjoy / mind / deny なども同じです。
問3 She is used to ( ) in front of people.
1. speak
2. speaking
3. spoken
4. speaks
答: 2 be used to doing は「〜することに慣れている」です。used to do(以前は〜した)とは別の形なので、be動詞の有無を確認してください。
問4 I regret ( ) him the truth.
1. not telling
2. not to tell
3. to not tell
4. telling not
答: 1 「言わなかったことを後悔している」という過去のことなので動名詞です。否定は not を前に置きます。regret to tell なら「残念ながら申し上げる」という別の意味になります。
問5 次のうち文法的に正しくないものはどれですか。
1. Quitting smoking improved his health.
2. I am interested in to learn Korean.
3. Would you mind closing the window?
4. He is proud of having won the prize.
答: 2 答えは2です。in は前置詞なので後ろには動名詞が来ます。to learn ではなく learning として I am interested in learning Korean. とします。1は動名詞が文の主語になった形で、動詞が単数扱いの improved になっており正しい形です。3は mind が目的語に動名詞をとる動詞で正しい形です。4は of が前置詞で、主節より前に終えた動作を having + 過去分詞 で表しており正しい形です。
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