助動詞(can, must, shouldなど)
動詞に「できる・すべきだ・かもしれない」といった話し手の判断を付け足す語です。同じ助動詞が「行為」と「推量」の2系統の意味を持つことを理解するのが要点です。
助動詞は動詞の意味を変える語ではなく、その動作について話し手がどう考えているかを付け足す語です。He goes は事実を述べているだけですが、He must go は「行かなければならないと私は考える」、He must be there は「そこにいるに違いないと私は考える」という判断が加わります。ここが最大のつまずきどころで、must / may / can などはどれも「行為に関する意味」と「推量に関する意味」の2つの系統を持ちます。どちらの意味かは、後ろの動詞が動作を表すか状態を表すかで決まります。
後ろは必ず動詞の原形
三人称単数の s も、過去形も、to もつきません。He can swims / He can to swim はどちらも誤りです。
2つ並べられない
1つの動詞に助動詞は1つだけです。× He will can come. ○ He will be able to come. 意味を重ねたいときは、代わりの表現に置き換えます。
行為系と推量系の2つの顔
must は「〜しなければならない(行為)」と「〜に違いない(推量)」、may は「〜してよい(許可)」と「〜かもしれない(推量)」を持ちます。1語につき2系統あると考えてください。
過去の話は have + 過去分詞で作る
助動詞自体は過去形を持たないものが多いため、後ろを have + 過去分詞にして過去の話にします。must have done で「〜したに違いない」です。
見分け方
助動詞の問題は「どちらの系統の意味か」を先に決めてから訳します。順序を逆にすると必ず迷います。
1. 後ろの動詞が動作か状態かを見る
go / study / leave のような動作なら行為系(義務・許可・能力)、be / know / have のような状態なら推量系(〜に違いない・〜かもしれない)である可能性が高くなります。
2. 主語が人か物かを見る
主語が人以外なら、義務や許可の意味にはなりません。It must be broken. は「壊れているに違いない」であり「壊れなければならない」ではありません。
3. 後ろが have + 過去分詞かを見る
have + 過去分詞が続いていれば、それは過去のことに対する推量か後悔です。must have done は「〜したに違いない」、should have done は「〜すべきだったのに」です。
4. 否定の位置を確かめる
否定が助動詞にかかるか動詞にかかるかで意味が正反対になります。must not は「してはいけない」と禁止を表し、don't have to は「しなくてよい」と不要を表します。
| 例 | 正体 | 判断の根拠 |
|---|---|---|
| You must go now. | 行為系(義務) | go は動作で主語が人。「行かなければならない」。 |
| He must be tired. | 推量系(確信) | be は状態。「疲れているに違いない」。 |
| You may leave. | 行為系(許可) | leave は動作で相手に向けた発言。「帰ってよい」。 |
| It may rain tomorrow. | 推量系(可能性) | 主語が天候。「雨が降るかもしれない」。 |
| He can't be serious. | 推量系の否定 | 「本気のはずがない」。can't は強い否定の推量。 |
| He can't swim. | 行為系の否定(能力) | swim は動作。「泳げない」。 |
| He must have missed the train. | 過去への推量 | have + 過去分詞なので「電車に乗り遅れたに違いない」。 |
用法別の例文
系統ごとにまとめます。同じ語が別の系統にも出てくるので、orig にどちらの系統かを示します。
能力・可能(can / could / be able to)
can は「その能力がある」、could は過去の能力を表します。ただし「1回だけできた」は was able to を使います。
She can speak three languages.
彼女は3か国語を話せる。
行為系の能力。現在の能力。
I could read music when I was five.
5歳のとき私は楽譜が読めた。
行為系。過去にわたって持っていた能力。
He was able to escape from the fire.
彼はその火事から逃げることができた。
1回限りの成功なので could ではなく was able to。 × He could escape from the fire.
You will be able to drive next year.
来年には運転できるようになるでしょう。
will can とは言えないので be able to に置き換えます。
許可・依頼(may / can / could / would)
許可を与える側は may、求める側は can / could / may を使います。could / would のほうが丁寧です。
You may use my computer.
私のパソコンを使ってよろしい。
行為系の許可。目上から目下へ使うと堅い響きになります。
Could you close the window?
窓を閉めていただけますか。
can より丁寧な依頼。過去の意味はありません。
May I ask you a question?
質問してもよろしいでしょうか。
許可を求める形。Can I 〜? より丁寧です。
義務・必要(must / have to / should / ought to)
must は話し手自身の判断による義務、have to は規則や事情による義務です。should は「したほうがよい」という助言で、must より弱くなります。
I must finish this report today.
今日中にこの報告書を仕上げなければならない。
行為系。自分でそう決めているという含みがあります。
You have to wear a helmet here.
ここではヘルメットを着用しなければならない。
規則による義務。話し手の意思ではありません。
He had to cancel the trip.
彼は旅行を中止しなければならなかった。
must に過去形がないため had to を使います。
You should see a doctor.
医者に診てもらったほうがいい。
行為系の助言。強制ではありません。
You must not park here.
ここに駐車してはいけない。
禁止。してはいけないという意味です。 × 駐車しなくてよい、という意味にはなりません。
You don't have to park here.
ここに駐車しなくてもよい。
不要。must not とは意味が正反対です。
推量(must / may / might / could / can't)
確信の強さで並べると、must(〜に違いない)> may・might・could(〜かもしれない)> can't(〜のはずがない)になります。can't は may not より強い否定です。
She must know the answer.
彼女は答えを知っているに違いない。
推量系。ほぼ確信している状態。
He may be in the library.
彼は図書館にいるかもしれない。
推量系。可能性は半々程度。
It might rain later.
後で雨が降るかもしれない。
may よりやや可能性が低い言い方。
That can't be true.
それが本当のはずがない。
推量系の強い否定。 may not は「〜でないかもしれない」で意味が違います。
助動詞 + have + 過去分詞(過去への推量・後悔)
過去の出来事を今の時点から振り返って判断する形です。訳し分けが試験で頻出します。
He must have forgotten our appointment.
彼は約束を忘れたに違いない。
過去への確信のある推量。
She may have already left.
彼女はもう出発したかもしれない。
過去への弱い推量。
You should have told me earlier.
もっと早く言ってくれればよかったのに。
しなかったことへの非難や後悔。実際には言わなかった。
He can't have said such a thing.
彼がそんなことを言ったはずがない。
過去への強い否定の推量。
I need not have hurried.
急ぐ必要はなかったのに(実際は急いだ)。
実際にしてしまったが不要だった、という含みがあります。
過去の習慣(used to / would)
used to は過去の習慣と過去の状態の両方に使え、今はそうでないことを含みます。would は過去の習慣にしか使えません。
I used to live in Osaka.
以前は大阪に住んでいた。
状態なので would は使えません。 × I would live in Osaka.
He would often go fishing on Sundays.
彼は日曜によく釣りに行ったものだ。
繰り返された動作なので would が使えます。
演習問題(ステップ解説)
例題1: must の意味を決める
The lights are off. He must be out. の must の意味を答えなさい。
- 後ろの動詞は be で、動作ではなく状態を表しています。
- 主語は He ですが、前の文で「電気が消えている」という根拠が示されています。
- 根拠から結論を出している流れなので、義務ではなく推量の系統だと判断します。
- 推量の must は「〜に違いない」です。
「彼は外出しているに違いない」という推量です。義務の must なら He must go out.(外出しなければならない)のように後ろが動作になります。
例題2: must not と don't have to を選ぶ
「明日は休みなので早起きしなくてよい」を英語にするとき、must not と don't have to のどちらを使うか答えなさい。
- 日本語の「しなくてよい」は、その行為が不要だという意味です。
- must not は「してはいけない」という禁止で、行為を止めさせる意味になります。
- don't have to は「する必要がない」という不要で、するかどうかは自由です。
- ここは不要を表したいので don't have to を選びます。
You don't have to get up early tomorrow. が正解です。must not を使うと「早起きしてはいけない」という禁止になり、意味が正反対になります。
日本人が間違えやすいポイント
最も多い誤りは must not と don't have to の混同です。× You must not come.(来なくてよい、のつもり) ○ You don't have to come. must not は禁止なので「来てはいけない」になります。次に多いのが助動詞を2つ重ねる誤りです。× He will can finish it. ○ He will be able to finish it. 助動詞は1つの動詞に1つだけです。3つ目は後ろの動詞の形で、× She can swims. × She can to swim. はどちらも誤りで、正しくは She can swim. です。4つ目は must の過去形で、× He musted go. や × He must went. は存在せず、○ He had to go. とします。
よく出るひっかけ問題
must not と don't have to は正反対
must not は禁止(してはいけない)、don't have to は不要(しなくてよい)です。日本語の「〜しなくていい」に引きずられて must not を選ぶ誤りが非常に多く、試験でも狙われます。
must の過去は had to
must には過去形がありません。過去の義務は had to、未来の義務は will have to を使います。ただし must have done は過去の義務ではなく過去への推量なので、別物として区別してください。
could は「できた」とは限らない
could は過去にわたって持っていた能力を表します。1回限りの行為が成功したことを言うときは was / were able to か managed to を使います。× I could catch the last train. ○ I was able to catch the last train.
can't have done と must have done
must have done は「〜したに違いない」、can't have done は「〜したはずがない」です。過去への推量では、否定側は didn't ではなく can't を使う点に注意してください。
should have done は実際にはしていない
You should have called me. は「電話すべきだったのに(しなかった)」という意味で、実際にはしなかったことを含みます。したことを褒める表現ではありません。
used to と be used to は別物
used to + 動詞の原形は「以前は〜していた」、be used to + 名詞または動名詞は「〜に慣れている」です。I used to drive.(以前は運転していた)と I am used to driving.(運転に慣れている)で意味がまったく違います。
may と might に時間差はない
might は may の過去形の形をしていますが、現在の可能性を表します。may よりやや可能性が低い、または控えめな言い方になるだけで、過去の話ではありません。
慣用表現
助動詞を含む決まった言い回しです。形が固定されているので、そのまま覚えてください。
| would like to | 〜したいのですが(want to の丁寧な形) |
| had better | 〜したほうがよい(従わないと困ることになる、という強い含み) |
| may as well | 〜したほうがましだ、どうせなら〜しよう |
| would rather A than B | BよりむしろAしたい |
| cannot ... too much | いくら〜してもしすぎることはない |
| may well | 〜するのももっともだ、たぶん〜だろう |
| used to | 以前は〜だった(今は違う) |
練習問題
意味の系統と、代わりの表現への置き換えが問われます。日本語訳から機械的に選ばず、根拠を確かめてください。
問1 「明日は日曜日だから早く起きなくてもよい」 You ( ) get up early tomorrow.
1. must not
2. don't have to
3. should not
4. can not
答: 2 「しなくてもよい」は不要を表すので don't have to が正解です。1番の must not は「起きてはいけない」という禁止になり意味が正反対です。3番は「起きるべきではない」という助言、4番は「起きられない」という能力の否定で、いずれも文意に合いません。
問2 He ( ) be at home. His car is in the garage.
1. must
2. should
3. would
4. need
答: 1 車があるという根拠から「家にいるに違いない」と結論しているので、推量の must が正解です。2番の should は「いるはずだ」という予定や期待寄りの推量で、根拠からの確信を表すには弱すぎます。3番の would は推量としてこの文脈に合いません。4番の need は肯定文で助動詞としては使えません。
問3 I ( ) catch the last train yesterday.
1. could
2. was able to
3. can
4. must
答: 2 昨日1回だけ間に合ったという事実なので was able to が正解です。1番の could は過去にわたって持っていた能力を表すため、1回限りの成功には使えません。3番は現在形なので yesterday と合いません。4番は「乗らなければならない」となり文意が変わります。
問4 She looks pale. She ( ) something bad.
1. must eat
2. must have eaten
3. must be eaten
4. must eating
答: 2 顔色が悪いという今の様子から、過去に何かを食べたと推量しているので must have eaten が正解です。1番は「食べなければならない」という現在の義務になります。3番は受動態で「食べられたに違いない」となり主語と合いません。4番は助動詞の後ろが原形になっていないため誤りです。
問5 次のうち文法的に正しくないものはどれですか。
1. He will be able to come tomorrow.
2. You had better see a doctor.
3. She will can finish it by noon.
4. I used to play the piano.
答: 3 3番は will と can という助動詞を2つ重ねているため誤りです。正しくは She will be able to finish it by noon. です。1番は can を be able to に置き換えた正しい形、2番は had better の後ろが原形の正しい形、4番は used to の後ろが原形の正しい形です。
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