不定詞
to+動詞の原形で、名詞・形容詞・副詞の3つの働きをします。どの働きかは文の中の位置で決まります。
不定詞は「まだ実現していないこと・これから起きること」を指すのが基本です。to はもともと「〜へ向かって」を表す前置詞で、その方向性がそのまま残っています。動名詞が「すでにあること・実際に起きていること」を指すのと対照的で、この違いが動詞の使い分けの根拠になっています。
3つの働きがある
名詞的用法(〜すること)・形容詞的用法(〜するための)・副詞的用法(〜するために)の3つです。同じ to do でも、文のどこに置かれるかで役割が変わります。
見分けるのは位置
文の主語や目的語の位置にあれば名詞的、名詞の直後にあれば形容詞的、それ以外なら副詞的です。訳から判断すると混乱します。
未来志向という共通性
I want to go / I decided to go のように、不定詞が続く動詞は「これからすること」を表すものが多くなります。
見分け方
3つの用法は、to do が文のどこに置かれているかで判別できます。上から順に確認してください。
1. その to do を取り除くと文が壊れるか
壊れるなら名詞的用法です。主語・目的語・補語として文の骨組みになっているからです。To read is fun. の To read を消すと文が成立しません。
2. すぐ前に名詞があり、その名詞を説明しているか
形容詞的用法です。something to eat の to eat は something を説明しています。
3. 取り除いても文が成立するか
成立するなら副詞的用法です。飾りにすぎないためです。I went to the store to buy milk. の to buy milk を消しても文は残ります。
| 例 | 正体 | 判断の根拠 |
|---|---|---|
| To learn English is fun. | 名詞的用法 | 文の主語になっている。取り除くと文が成立しない。 |
| I have a lot of work to do. | 形容詞的用法 | 直前の work を説明している。「するべき仕事」。 |
| I got up early to catch the train. | 副詞的用法(目的) | 取り除いても I got up early. が残る。目的を付け足している。 |
| I am happy to see you. | 副詞的用法(感情の原因) | happy の理由を説明している。目的ではない点に注意。 |
用法別の例文
用法ごとに代表例を押さえてください。副詞的用法は意味が複数に分かれるため、特に例を多く挙げています。
名詞的用法(〜すること)
主語・目的語・補語になります。主語のときは形式主語 It を使う形が普通です。
To master a language takes time.
言語を習得するには時間がかかる。
主語の位置。
It is difficult to master a language.
言語を習得するのは難しい。
形式主語 It を使った形。 英語では長い主語を嫌うため、この形のほうが自然です。
She decided to study abroad.
彼女は留学することを決めた。
decided の目的語。
My goal is to pass the exam.
私の目標は試験に合格することだ。
be動詞の後ろの補語。
形容詞的用法(〜するための・〜すべき)
名詞の直後に置いて、その名詞を説明します。
I have something to tell you.
あなたに伝えたいことがある。
something を説明。
Do you have anything to drink?
何か飲み物はありますか。
anything を説明。
He was the first person to arrive.
彼が最初に到着した人だった。
the first person を説明。 序数や the last の後ろでよく使われます。
I need a pen to write with.
書くためのペンが必要だ。
write with a pen の with が残った形。 前置詞を落とすと誤りになります。
副詞的用法(目的:〜するために)
最も頻度が高い用法です。in order to / so as to で目的を明示できます。
She went to the library to borrow a book.
彼女は本を借りるために図書館へ行った。
目的を表す。
He left early in order to avoid the traffic.
彼は渋滞を避けるため早く出発した。
in order to で目的を明確にした形。
副詞的用法(そのほかの意味)
目的以外にも4つの意味があります。訳し方が変わるので区別が必要です。
I am glad to hear the news.
その知らせを聞いてうれしい。
感情の原因。glad の理由を説明。
He grew up to be a doctor.
彼は成長して医者になった。
結果。前から順に訳します。
This book is easy to read.
この本は読みやすい。
形容詞の限定。easy の範囲を示す。
She must be tired to say such a thing.
そんなことを言うとは疲れているに違いない。
判断の根拠。
意味上の主語と否定
誰がするのかを示すときと、否定するときの形です。
It is important for you to attend the meeting.
あなたが会議に出席することが重要だ。
for + 人 が意味上の主語。
It is kind of you to help me.
助けてくださって親切ですね。
人柄を評価する形容詞では of を使います。 kind / careless / foolish など人の性質を表す語は of です。
He told me not to worry.
彼は心配しないようにと言った。
否定は not を to の前に置きます。 to not worry の語順にはしません。
演習問題(ステップ解説)
例題1: 3つの用法を見分ける
I went to the shop to buy something to eat.
- to buy something to eat の部分に、to do が2つあります。1つずつ判定します。
- to buy を取り除くと I went to the shop. が残り、文として成立します。よって副詞的用法(目的)です。
- to eat は直前の something を説明しています。「食べるための何か」なので形容詞的用法です。
- 「何か食べるものを買うために店へ行った」という意味になります。
1文に複数の不定詞があっても、1つずつ位置を確認すれば必ず判別できます。
例題2: for と of を使い分ける
It was careless ( ) you to leave the door open.
- It is 形容詞 ( ) 人 to do の形です。for か of が入ります。
- careless は「不注意な」という人の性質を表す形容詞です。
- 人の性質を評価する形容詞のときは of を使います。kind / careless / foolish / wise などが該当します。
- 答えは of です。difficult や important のように人の性質を表さない形容詞なら for になります。
形容詞が人柄を評価するものなら of、そうでなければ for です。
日本人が間違えやすいポイント
前置詞の付け忘れが最も多い誤りです。× a house to live → ○ a house to live in。live in a house という元の形を思い出せば、in が必要だと分かります。a pen to write with、a chair to sit on も同じ理由です。もとの文で前置詞が必要なら、不定詞にしても前置詞は残ります。
よく出るひっかけ問題
否定は not を to の前に置く
not to do の語順です。to not do とはしません。He decided not to go. のように使います。
形容詞的用法では前置詞が残る
a house to live in の in を落とすと誤りです。live in a house という元の形から前置詞が必要かを判断してください。
人の性質を表す形容詞は of
It is kind of you to help. のように、kind / careless / wise / foolish などでは for ではなく of を使います。
疑問詞+to do は名詞のかたまりになる
I do not know what to do. の what to do は「何をすべきか」という名詞のかたまりです。how to / where to / when to も同じ形で使えます。
seem to や happen to は主語を訳し上げる
He seems to be tired. は「彼は疲れているようだ」です。It seems that he is tired. と同じ内容を表します。
too 〜 to do は否定の意味になる
This box is too heavy to carry. は「重すぎて運べない」です。not がないのに否定の意味になる点に注意してください。
練習問題
用法の判別と、前置詞の有無に注意して解いてください。
問1 I need a chair ( ).
1. to sit
2. to sit on
3. sitting
4. for sit
答: 2 元の形は sit on a chair です。on が必要なので to sit on になります。前置詞の付け忘れは不定詞で最も多い誤りです。
問2 It was very kind ( ) you to help me.
1. for
2. of
3. to
4. with
答: 2 kind は人の性質を評価する形容詞なので of を使います。difficult や necessary なら for になります。
問3 He decided ( ) the offer.
1. not to accept
2. to not accept
3. not accepting
4. to accepting
答: 1 不定詞の否定は not を to の前に置きます。to not accept という語順にはしません。
問4 This question is too difficult ( ).
1. to answer
2. to answer it
3. for answer
4. answering
答: 1 too 〜 to do の形です。answer の目的語は主語の This question なので、it を置くと重複して誤りになります。
問5 次のうち文法的に正しくないものはどれですか。
1. She promised to call me tonight.
2. He made me to wait for an hour.
3. I want you to be honest with me.
4. My dream is to travel around the world.
答: 2 答えは2です。使役動詞 make の後ろは to のつかない原形不定詞なので、to wait ではなく wait が正しい形です。He made me wait for an hour. となります。1は promise が目的語に不定詞をとる動詞で正しい形です。3は want + 目的語 + to不定詞 の形で、不定詞の意味上の主語を you で示しており正しい形です。4は不定詞が be動詞の補語になった名詞的用法で正しい形です。
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